介護とは?

福祉紙芝居 「梅子さんとケアマネジャー」

作:三橋 とら 構成:三橋 正宏

あるところに、「梅子さん」というとっても元気なおばあちゃんがいました!
今年で68歳!趣味は孫のケンタくんとおでかけをすること!
今日は梅子さん、ケンタくんと一緒に「おばあちゃんの原宿」巣鴨でお買い物を楽しんでいます!
この人が梅子さんです。
こんにちはー!孫のケンタくんも一緒ですね。
今日は秋晴れでよかったですね。ホラ、赤トンボも飛んでます。
・・・おっと、ワンパク盛りのケンタくん、赤トンボを追いかけて走り出しました!
ケンタくん、一人で走ったらあぶないよー!
段差もひょいと飛び越えて、ケンタくんは止まりません。
「ケンタァ、待ちなさぁい!」
梅子さんも追いかけます。

あっ、梅子さん、足元に、段差ありますよ!
気づいて!あ、ダメだ!気づかない!
梅子さん、あぶなーい!!
ズシ~~~ン!!!

梅子さん、段差につまづいて、転んでしまいました!梅子さん、大丈夫でしょうか?!
「あ、いたたた・・・、あら、腰が、腰が動かないわ・・・!ちょっ・・・誰か!誰か、救急車呼んで~!!」

・・・大変なことになりましたね…。なんとか救急車を呼んでもらって、病院に運ばれた梅子さん。
「母さん!大丈夫か?!」病院から連絡を受けた、ケンタくんのお父さんお母さんが病室に飛び込んできました。
梅子さんの息子さんと、その奥さんです。
家族が駆けつけてくれたので、ホッと、一安心…したのもつかの間・・・
お医者さんが深刻そうな顔でいいました。

「大腿部骨折です。足の付け根の骨が折れています。二か月の間、入院していただきます。
退院しても、おそらく一人で歩くことはできないと思うので、退院するまでに、車イスを用意しておいてください。」

かわいそうな梅子さん、さっきまであんな元気だったのに、・・・車イス生活になってしまいました。
人生なにがあるかわかりませんからね・・・。寝ている梅子さん不安が襲います。

そして、家族だって・・・これからどうやって梅子さんを介護していいのか不安でたまりません。
・・・すると、お医者さんがいいました。
「介護保険ってご存知ですか?」
「介護保険?!…(そりゃ、40から払ってますから、名前だけは聞いたことありますけど…でもそれ自体がなんなのかは知りません…)」
「介護保険を使えば、介護の援助が受けられます。区役所や地域包括支援センターで申しこめますから、行ってみたらどうでしょう?申請から一か月ぐらい調査がかかりますから早めのほうがいいですよ!」

「なるほど、介護保険ですか…区役所で…さっそく行ってみます!」
お医者さんの口から出た「介護保険」という言葉…。
梅子さんの家族はイマイチ「ピン」ときていなそうでしたが、とりあえず、区役所に向かいました。
窓口のお姉さんが、介護保険と書いた冊子をくれました。
わかりやすいイラストで説明が書いてあります。
お姉さんは、冊子を開いて、「介護保険」のことを細かく教えてくれました。
介護保険は、大きく分けて二つ種類があります。『要介護』『要支援』というのがあって「要介護」は5段階、「要支援」は2段階にわけられています。
平成28年3月より、北区では要支援1,2の方でヘルパーさんによる支援(介護予防訪問介護)とデイサービスに行く(介護予防通所介護)が総合支援事業に移ります。お金の出所が国から自治体に代わるのですが、現在の内容をほとんど変更なく利用できます。また、自治体で管理するので、その地区にあったより細かいサービスを提供できるようになります。例えば、お年寄りで、電球の交換ができない場合などの交換サービスや地域の人がみんなで支えられるような仕組みを考えていきます。要支援1で歩いて申請に行ける方、新しく介護保険を申請される方で、歩いて申請に行ける方は高齢者あんしんセンターで本人希望により、「笑顔で長生き調査」を受けて介護予防サービスや総合支援事業サービス、要介護のサービス等、お体の状態にあったサービスを申請できます。いつまでも元気で、今の生活が続けられるように機械などを使ってリハビリをしたり、区の総合支援事業により、ホームヘルパーさんと一緒に家事をしたり、今まで通りデイサービスに通ってレクレーションを楽しんだりできます。
『要介護』と認定された方は、どんなサービスを利用できるのかというと、「介護サービス」を利用することができます。
「介護サービス」というのは、ヘルパーさんが家にきて、身の回りのお手伝いをしてくれる「訪問介護サービス」や「通う、所」と書いて「通所(つうしょ)介護サービス」というものがあります。
通所介護サービスとは、お家に送り迎えをしてくれる車が来て、みんなで身体を動かしたりできるサービスです。
他にも色んなサービスを受けることができますよ!
介護プランを考えるのは大変だという方は、介護プランを立てる専門家、「ケアマネジャー」さんと一緒に、プランを考えることもできます。
『要支援』と認定された方は、「介護予防サービス」を利用することができます。
ケアマネジャーの代わりに、「地域包括支援センター」の職員が介護予防のプランを一緒に考えてくれます。
いつまでも元気で、今の生活が続けられるように、皆さんと一緒に体操をしたり、ホームヘルパーさんと一緒に家事をしたりします。

ちなみに、『要介護』でも、『要支援』でも、利用できるのが、『住宅改修』です。

「お家の中を、生活しやすいように手すりをつけたり、スロープを付けたりして、段差をなくすことができますよ!金額に上限はありますが、介護保険をお使いになると、以上のことができるので、便利ですよ」

「なるほど!介護保険のことが少しわかってきたぞ!できればケアマネジャーさんにお願いして、介護プランを一緒に考えてもらいたいけど、どうしたらいいんだろう?」
「そうしたら、まず、認定調査を受けてくださいね!」
この「要介護度」を決める大事な調査です。
「今日、から一~二週間以内に、認定調査員が、ご自宅や、入院されている病室を訪問いたします。
いくつか質問をして、お身体の状態をみたり、日常生活の中ご不便がないかお話しをきいて、介護度が決められます

そこで、出た結果が「要介護」だった場合、ケアマネジャーさんといっしょに介護プランを決めることができます。
そのときは、この紙を参考にしてください。」
紙をもらいました。
見ると、住所と電話番号がたくさん書いてあります。
ケアマネジャーさんの連絡先がのっているリストです。

「ケアマネジャーさんは自分たちで決めるんですね!たしかにいろんなタイプの人がいますから、自分で選べた方が嬉しいですよね!」

さぁ、梅子さんの結果は果たして・・・
すべては、「認定調査」にかかっています・・・。

・・・さぁ、一週間が経ちました。今日は、運命の「認定調査」の日です。
なにやら、朝からものすごくはりきっている梅子さん!
・・・それもそのはず
調査員が、若くてカッコいい男の子だったからです!
梅子さん、いいとこ見せたいからってくれぐれも無茶はしちゃだめですよ!
認定調査が始まりました。
「手は、上がりますか?」「寝返りはうてますか?」という風に
全部で74個の質問をしてゆきます。認定調査の質問は決まっていてどんな人にも同じ質問をします。
これで平等に、「介護度」を決めているんですね。
「では、次、足は上がりますか?」
「足…足ですか…えぇ、上がりますよ・・・!!ふん!・・・あ、いたたたた!」
梅子さん、若い男の子にいいところをみせようとして、無茶してしまいました。

「梅子さん、無理しちゃだめですよ!これはスポーツテストじゃないんですからねー!」
笑い話みたいですが、コレ、結構多いんですね。
認定調査は、「正しい本人の状態を調査するため」に行うものです!
決して無理はしないでくださいね~!

さて、認定調査も無事に終わり・・・介護保険の申請から約一か月…。お家に「介護保険証」が届きました。
これが『介護保険証』です。ここに、「介護度」が載ってるんですね。
梅子さんは、『要介護「3』でした。
区役所のお姉さんが言ってましたね。「要介護」の人は、ケアマネジャーさんと一緒に、介護プランを考えることができます。

区役所でもらったケアマネジャーさんの一覧表を見ながら、おかあさんがぶつぶつ言っています。
「こんなにいっぱいケアマネジャーさんっているのね…どの人がいいのか全然わからないわ・・・介護プランを一緒に決める人だから、腕があって、信頼できる人のほうがいいけど、・・・どうしたらいいのかしら???」

・・・たしかに、これだけ名前があったら悩みますよね。
しかも、判断は電話だけがたよりです。
さぁそこで、私、実際に、本物のケアマネジャーさんに聞いてきました、ズバリ「良い、ケアマネジャーさんの選び方」を教えてください!
はい、こちらです!ちょっとご紹介いたします!
・すぐに電話に出る
・対応が早い
・電話で待たせない
・介護保険のことをわかりやすく、丁寧に説明ができる人
・挨拶がしっかりできる人


みなさん、覚えましたか?
電話はどんどんかけるべきだ!とも言ってました!
気に入らなかったら断ってしまってもいいし、契約をしてからでも途中で変えられることもできるんだそうです!
人間と人間同士のお付き合いですからね!
さて・・・梅子さんのケアマネジャーはどうなったでしょうか?
・・・ご紹介しましょう!ケアマネジャーのベテラン!橋本さんです!
優しそうな雰囲気に梅子さんは「この人なら大丈夫!」と思いました!
契約をすませると、橋本さんは、梅子さんに「今、困っていること」「不安なこと」を聞きました。
たくさん話をするというのはとても大事なことです。

ケアマネジャーさんのお仕事は、「梅子さんの幸せな暮らしを介護保険でお手伝いする」ことです。
「勝手に介護プランを立てる」ことではありません!
橋本さんは、梅子さんのお家に行きました。梅子さんが退院して、車イス生活になったら、どう不便が出てくるかを考えます。
家の中で車イスを使った移動は、段差があっては大変です。スロープを使って段差を無くすことにしました。
ケガをするまで梅子さんは布団で寝ていましたが、布団から立ち上がって車イスへの移動は大変です。
「電動ベッド」のカタログを用意しました。
トイレにも手すりをつけて一人で行けるようにします。

おや、でも梅子さんの家族は不安顔。どうしたんでしょうか?

「たしかに、電動ベッドがあると楽だと思いますが…、電動ベッドって、高いんじゃないですか?何十万とかしますよね?」
心配そうな家族をよそに、橋本さんは笑顔です!
「大丈夫です、車いすも、ベッドも、全てレンタルで借りられますよ!」
そうなんです!介護保険には、『福祉用具貸与』というのがありまして、介護で必要な器具は、レンタルで借りることができるのです!
毎月のレンタル代も「一割負担」ですからかなりお得になっています。

普通に買ったら10万円する、車イスは、一か月、だいたい600円前後で!
モーター式の介護ベッドは、一か月だいたい1000円前後で、借りることができます!!
「レンタルできるなんてしらなかったなー!ケアマネジャーさんのおかげで助かりました!本当にどうも、ありがとうございます!」

(ちなみに、こういう例があります。車イス生活だった方がリハビリを頑張って杖で歩けるようになりました。車イスはもう使わなくなってしまいます。高い値段で買っても使わなくなることもありますからね、それはもったいないです!
なので、ケアマネジャーさんはよくこういいます!「買わないでほしい!お金がもったいない!」

でも・・・「レンタルって誰が使ったかもわからないのは気持ち悪い、なんとなくイヤ…」という方もいらっしゃいます。が、きちんと、消毒して、綺麗な状態でお家に届きますから安心してください!
それに・・・ここだけの話ですが、「最近人が増えている」せいもあり、どんどん新品を購入しているそうです。
なので、ほぼ、新品の状態のものがレンタルできるそうなので、みなさんも、バンバン、このレンタル制度を利用してください!)
梅子さんが入院してからずっと不安だった息子夫婦にも、ようやく笑顔が戻りました。よかったですね!
・・・退院して家に帰ってきた梅子さんもとっても喜びました!
「これは楽だわ!!!自分で寝起きもできるし、トイレにもいける。段差もないから車イスでも移動がラクだわ!」
車イスで、生活することに、不安を感じていた梅子さんの顔が、パーッと明るくなりました。
橋本さんもその顔を見て、ホッと、一安心しました。
「橋本さん、あたしね、一つお願いがあるんだけど・・・」
「なんですか?」
「あたしね、今はこう、車イスだけど、やっぱりもう一回、自分の足で歩きたいんだわ。前みたいに孫と買いものにいきたいの。むつかしいかしらねぇ?」
「いいえ!いいじゃないですか、お買いもの!じゃあ、リハビリを頑張りましょう!練習して、少しずつ歩けるようになりましょう!ね!梅子さん!」

橋本さんと話す梅子さんはキラキラしていてとっても楽しそうです!
なんだかこうしていると、夢を語りあっている女学生みたいですね!
・・・さて、梅子さんのその後を、覗いてみましょう!
あ、見てください!歩いています!リハビリを頑張って、杖で歩けるようになったんですね!
お孫さんと一緒に、お買いものを楽しんでいる梅子さんの姿がありました。
今日も、巣鴨で、梅子さんの笑い声が響いている、ということです!

めでたし めでたし!